LEON、弾丸が結ぶ愛

おはようございます。台風もやってきて、ようやく夏になった気がします。

 

殺し屋と少女。この二つのワードに心当たりがある方、どなたかいらっしゃいませんか。そこのあなた、私が言いたいこと分かりますよね。そうです。「LEON」を見たのです。ついでにもう一つ、ネタバレがあるということも伝えておきます。

 

意外とこういうタイプの映画見たことなくて、なかなか新鮮な気持ちで視聴することができました。独特な雰囲気ですよね。なんていうか、こう…街? そう、街って感じの雰囲気がしました(?) 感覚的な言葉しか出なくて大変申し訳ないのですが、街の雰囲気を感じ取ったわけです。コミカルとまでは言わないけれど、つかの間のひと時のような安らぎや、ロマンスというには少し歪な愛情が流れていました。一言で言い難い、腹に一物かかえたような雰囲気が混ざり合っている。私は、そこに街を見ました。何を言ってるんだ。

 

まあ、街の解釈は置いといて物語を見ていきましょう。初っ端から持ち前の技量で掃除をするレオン。暗闇からヌルっと出てきて、首元にナイフを突きつけるときの怖さが半端じゃないです。おじさん生きててよかったね。レオンは、傷一つ受けない腕利きの殺し屋って印象をここで与えられたので、中盤で肩を負傷して手当てしてるシーンが際立って映りました。マチルダの存在が殺しの腕を鈍らせてしまうほどのものだと分かります。

レオンがマチルダに殺しの技術を教える際、ランニング男や麻薬男が練習台になってましたけど、12歳の少女が平然と銃で人を撃つって冷静に考えたらかなり危ない描写なのでは…? 少し昔の作品だから、規制を気にするほどのものでもなかったのかな。今の時代でこの描写をすれば、めちゃくちゃ叩かれたりすんのかな~と思っちゃった。結局、あのランニング男は何だったんだろう。

後半の銃撃戦は良かったですねえ。マチルダとの愛が強固なものとなったことでレオンも強くなったのか、一人であれだけの人数を殺してますからね。マチルダを逃がすときのレオンを見て、これは死ぬなと思いながら見てたら、普通に生き残って上に変装して敵を欺くとは思いませんでした。スタンスフィールドに顔さえ見られなければ…。

 

カメラのアングルもなかなか印象深いですよ。最初の目や口元だけを映すシーンや、階段を真上から見下ろすシーンとかね。何といっても、レオンが撃たれて視界が傾くところが一番インパクトあって好きですね。よろしくないことが起きてるけど、あそこは見ててやられました。結構、演出としては思いつきそうなものですが、あの状況で使ってくるのは正直卑怯とすら言えますよ。あれは良かった。今後、映画のカメラアングル最高選手権に出ることがあれば、あのシーンを選出しようと思っています。

 

レオンは、何とも不思議な男ですよね。冷酷な殺し屋かと思えば、間の抜けた顔で映画を見たり、豚のキッチンミトンでふざけたりもする。恋だってする。作中では、レオンのいろんな顔を見ることができました。年齢こそ重ねているものの、どことなく不器用な感じがいいですよね。新しい宿を借りる時、機転が利かなすぎて硬直してたとことか、とても殺し屋とは思えかった…。そんなレオンだからこそ、年の割に大人びてるマチルダとの相性も良かったのかもしれません。

やたらミルクを好んで飲んでたのは何でだろう。検索してみましたが、諸説あるようです。大人(強い力を持つ者)がミルクを飲むと不気味に見えるという解釈があって、すごく納得してしまいました。殺し屋がミルクってよくわかんないですよね。レオンは、精神的にはまだ子供という暗喩でしょうか。逆に、マチルダは煙草を吸ったりお酒をグイグイ飲んだりして、大人らしさを手に入れようとしてるように見えました。子どもの背伸びですね。

 

チルダは12歳の少女でしたが、演じたナタリー・ポートマンは13歳だったようです。13歳であの大人びた雰囲気や、無邪気な子供の雰囲気を演じ分けることができるのか…。女優ってすごいですね~。初体験に誘おうとしたけど、結局一緒にベッドに入って寝るだけのシーンにその二つの雰囲気が詰め込まれてましたよね。子供なのに子供らしさをあまり感じないことが多かった印象。変装してるときとか、普通に18歳って言っても通用する気さえします。自分の纏う雰囲気をあれだけ変えられる人って、現実にもいるのかな。

子供4人に場所代を迫られて、普通にお金をあげるシーンが何となく記憶に残ってます。ああいう、ここを通るには交通料を払ってもらうぞ的イベントで、素直にお金を払う人がいるという知見を得ました。私も、考え事があるからって理由で人を追い払ってみたいな~。

 

これまでちょいちょい映画を見てきましたけど、スタンスフィールドほど癖の強い悪役は見たことがありません。麻薬取締官なのにヤク中ってところからもうやばいし、スーツがダメになったという理由で死体撃ちするのやばすぎる。あの薬は、エクスタシーらしいです。薬キメる時も何か怖いし。キメた後ももちろん怖い。作中でそれほど出番はないはずなのに、かなり印象深いキャラクターになっていました。ゲイリー・オールドマンは、裏切りのサーカスで見たイメージで固定されていたので、同じ人が演じてると全く気付かなかったね。ああいう独特の死生観を持ってるの、まさに狂人だなって感じ。最後は、リングトリックでレオンと相打ちになったけど、あれくらいだったら生きてそうな感じさえするよね。さすがに死んでるかな。いや~いい悪役だった。

 

 

観葉植物の話は、まんま伏線って感じでしたけど、最終的にあのオチで良かったです。学園の前に観葉植物を植えることで、自分がこの地に根を張って生きていくから安心しろっていう亡きレオンへのメッセージと、レオンの墓という二つの意味が込められているものだと想像しています。墓は、また別にちゃんとしたのを作ってそう。やっぱり、比喩表現は伏線になりやすいんでしょうね。今回でさらに学びました。

あのラストだからか、後味もそれほど悪く感じることなく終わりましたね。面白い映画だった…。おじさんと少女って、組み合わせとしては結構鉄板って感じがするけど、こうも面白くなるもんなんですね。品質の良い食材を使って、腕利きのシェフが美味しい料理を出してくれたという安心感がある映画でした。変な例えを使いだしたのは、眠くてもはや頭が回ってないからです。

 

危ない関係の二人から芽生える愛も、偽りなく愛だったと思います。珍しい愛の形を見せてくれたLEONに感謝しつつ眠ります。それでは、おやすみなさい。

 

今日のご飯 ワイルドスパイシービーフ