順列都市 減速する世界と不死

おはようございます。冬、二度寝しがち。

 

またもや宗教勧誘に起こされてしまいました。ありがたい聖書のお話を聞いたあとに、私の価値観についてむにゃむにゃ語っていたら、いつの間にか相手さん帰ってました。本当に答えの出ない悩みなんてものは、言葉ではなく、感覚で分かるものだと思うので、耳ざわりの良い言葉だけじゃ響いてきませんね~。

 

宗教家が帰った後、順列都市の続きを読み始めました。途中、二度寝かましながらも、何とか下巻を読みきりましたよ! いや~大変だった。長い小説ほど、小分けにして読むのではなく、まとまった時間に集中して読む方が大事だということを思い知りました。上巻の内容が頭から結構飛んでしまっている。

内容も非常に難解で、感想の体すらなしえないかもしれませんが一応感想を頑張って書きます。感想にはネタバレが含まれます。でも、この本のこと、あんまり分かってないからそれほどネタバレにはならないかもしれないね。

 

 

 

 

 

本作の上巻は、主に順列都市に行くまでの話。下巻は、行ってからの話。で、大体合ってるかな? 主人公のストーリーはこんな感じだけど、他の二人(トマス・リーマンとピー)はちょっと雰囲気が違うんですよね。とりあえず、本筋の方を追っていきましょう。

不死を目指した偏執病患者のポール・ダラムの話から、物語は動き始めます。コピーの人格、感情、体の状態、記憶などの描写によって、コピーも普通の人間に似た(似せた)ものなのだと分かります。ポールは、コピー元と思わしきダラムのことをキーキー声なんて貶すぐらいには感情豊か。とても、人間のコピーとは思えませんね。ダラムから非人道的な実験を受けてるうちに、塵理論に辿り着くポール。この塵理論とやらが、何かすごい重要らしいです。ぶっちゃけ、どういう理論か分かってない。後で出てくるオートヴァース云々もよく分からない。この本ねえ、理数系に寄せまくってるから、私の頭じゃ理解が追いつかないんですよ。とにかく、塵理論を試すために大富豪やマリアを説き伏せたってことさえ分かっていれば大丈夫でしょう。この解釈ももしかしたら違うかも…。

めちゃくちゃ不安になってきました。私は、本作の半分も理解出来てない自信があります。雰囲気で読みすぎたな…。まあ、そんなわけでダラムによる塵理論実践編が下巻になるわけですよ。自分の考えた理論を証明するための行動力と、時間の流れが違うとはいえエリュシオンで7000年近く生き続ける精神力は常軌を逸していて怖いですね。ポールは、まだまともそうな感じだったのにね…。ダラムのように頭が良く回るタイプの狂人が一番怖い。「これ…壊しちゃってもいいよね…」みたいなステレオタイプの狂人は、キャラクター・属性が表に出すぎちゃってあんまり現実味が無いですよね。でも、ダラムの理論をまとうタイプの狂人はその辺にいそうだから怖いんだよ~。コンビニでバイトしてる時にシフト一緒だった執行猶予付きの人がそれだった。

そんな狂人だからこそ、マリアの必死の呼びかけに応えたところが心に残りました。あれだけ、長々と理論やらグリッドやら言っておいて、最後の最後で人間味が出てきたのはちょっと感動しましたね~。人間じゃないけど。自分のために全てを投げうって、それすらも失っていく中で他者のために生きようと決意するのは、狂人らしからぬかっこよさがありました。あの場面が、初めて他者と交流した瞬間なんじゃないかなと思います。マリアから見れば、ある意味エイリアンとも言えるダラムが、ようやく人間になったような、そんな風に読み取れました。

 

何だかんだで狂人を助けちゃったマリアさんについて触れておきましょう。いかにもダラムが主人公感出してますが、あんな狂人が主人公なわけがありません。マリアさんが主人公です。趣味でオートヴァースの研究をやってる以外に変わったところのない人で、極めて現実的な視点を持っています。狂人とは大違いですね。比較的まともな彼女ですが、オードヴァースで突然変異を発生させることに成功したばっかりにダラムに目をつけられてしまいます。かわいそう。勝手に死にかけたダラムの対応をしたり、勝手にエリュシオンに目覚めさせられたりと狂人に振り回されっぱなしの人生です。お金と母親の命がかかってるとはいえ、もうちょっと仕事相手は選ぶべきだったんじゃないかと思いますよ。

マリア編のオートヴァース関連が実に難解。読んでて頭痛がしそうでした。難しい語句が並んでるわけじゃないけど、描写のイメージが全然掴めなかった。現実の科学とか生物学も良く分かってないのに、架空の生物学なんて持ち出されたらもうお手上げですよ。理系の頭だったら、もっと本作への理解が深まったのかな? あまりの難解さに読み始めちゃったことを若干後悔したよね。

本作の登場人物がプログラムとしての自分にそれほど嫌悪感を抱いたりしないので、そういう意味でマリアさんは貴重な存在でした。あくまで、人間らしく振舞うところがいいですね。ダラムに対して簡単に同調しない彼女だからこそ、茫然自失に陥った彼を救うことができたんでしょう。相性がいいのか悪いのか分かりませんね。

 

メインの二人については大体こんな感じ。お次は、トマスとピーですね。トマスから先に触れましょう。トマス・リーソンは大富豪であり、彼女を殺してしまったことの罪の意識、悔恨に苦しみ続けるおじいちゃんです。正直、トマスが本作の登場人物で一番好きかもしれない。理由は、死が出てくるから。不死を取り扱う作品で、一番死に対して向き合おうとしてるのがトマスなんですよね。まあ、目を背けてしまった結果、不死になってしまいましたが。やっぱり、不死って概念は難しいですよね。その点、死はとっても単純。無くなるだけですよ。死は馬鹿でも分かりやすいからありがたい。もし、私が小説書くことがあったら、登場人物を片っ端から死なせまくる話を書くと思いますね。分かりやすいから。

体はすでに無くなり、コピーとして生きる自分もエリュシオンと共に消えていってようやく成仏できそうですね。いや、あの様子だと、魂がひたすら後悔し続けるだろうから、成仏は永遠にできないかも。不死になってしまったばかりに、必要以上の罪悪感を背負う羽目になったトマスには墓を立ててやりたいね。死んだ証がないと死にきれなさそうだし。

 

ピーは、不死に順応しすぎた元人間ですね。名前、人生の目標、記憶…あらゆるものを変えて生きている彼がちょっとうらやましいような気もします。人生で一回くらいは、生まれなおしとか経験したいよね。不死ならそれに似たようなことができるってことですからね。いいな~。とはいえ、ビル降りや木材加工で数十年も費やす生活はさすがに勘弁願いたい。あ、あれ便利そうですよね。自分の感情をスナップショットで保存して、好きなときに呼び出したりするやつ。現実にも輸入してほしいな。冷静のスナップショットを持ち歩きたい。

すっかり不死に染まっている彼ですが、染まりすぎて自分そのものが分からなくなってしまうという事態に直面してしまいます。記憶の連続性が失われつつあることが原因です。言い切ってるけど、あんまり自信ない。多分合ってると思います。繋がってはいるけど、それが自分そのものだと言えるほどの根拠が持てないって感じ。そもそも、不死になった時点で自分はあってないようなものだと思いますけどね。最終的に、様々な体験をした、まるで別人のような自分をまとめて唯我論者国家になるんだと言い出してしまいました。不死も行きつくとこまで来たか…。いくら、これまでの自分が別人だからって、自分を増やさなくても…。彼女のケイトは、終始ピーに振り回されっぱなしで大変です。この作品、女性が大変な思いばっかりしてる気がするな。

 

登場人物については以上です。思ったよりいっぱい書いてしまった。本作、単純に長いからね。そりゃ、こうなるよ。全体を通して難しい語句とかはほとんど無かった(難しく専門用語はいっぱいあった)けど、作中であまりにも罫線が多用されすぎて読みにくかったのがちょっと気になったかな。——固体の。 なんて書き方しやがる! それぐらいで罫線使うんじゃねえ!っていうところが何度かあった。これは、忠実に訳したらこうなっただけなのかな。何にせよ、罫線が、読み進めるのに時間がかかった原因の一つです。読むの大変だった…。

 

結局、自分のコピーをプログラム上に走らせることで事実上不死となりえるってことでしたけど、これなら私は不死じゃなくてもいいですね。コピーは、厳密には自分とは違う存在だから、それを不死っていうのは…ってことじゃないです。単純に、そこまでして生きようと思わない。適当なところで区切りつけて死ぬくらいがいい塩梅だと思いませんか。一年くらいエリュシオンに住むとかなら、むしろ歓迎まであるんですけどね。さらなる賢者になるためには、生まれないことを選択しなければなりません。生き続けたらそれが達成できなくなっちゃうじゃないですか。それは嫌。やっぱ人間、一回くらい死んでみないとね。

 

それにしてもなげー作品だった。しかも難解という。さすが、ハードSFと言われるだけのことはあります。SF作品ばっかり読むのも疲れたので、次はあっさりとしたものが読みたいですね。ちょうど、「止まり出したら走らない」という本を買ったので、これを読んでいこうと思います。本質の槍を方々に刺しまくってるダ・ヴィンチ・恐山こと品田遊さんの小説ですよ。これが面白くないわけがない。オモロを売りにしてる人ですからね。期待しかない。

 

次に読む本も決まったところでそろそろ寝ましょう。集中力無さ過ぎて、一時から書き始めたのに、いつのまにか五時になってしまいました。何か音MAD巡りしてたら、時間吹き飛んでたわ。こわ。眠いとき特有の音楽が早く聞こえるが始まってきたので、多分限界が来てます。きつい。それじゃ、もう寝るんで。おやすみなさい。

 

今日のご飯 広島風お好み焼