英国庭園の謎、トリックが語るもの

おはようございます。急に涼しくなったな…。

 

皆さんは、普段どういう本を読んでますか。本を読んでない? 結構結構。私も最近まで読んでなかったしね。これまで、このブログで本の感想を書いてきましたが、いずれもSF小説ばかりでした。今回は違いますよ。何てったって、推理小説ですからね。「英国庭園の謎」という小説です。作者は有栖川有栖。作者の名前は、どこかで聞いたことあるような気がする。この本は、私が買ったわけじゃありません。とある方から、貸していただいたものなのです。たまには違うジャンルの小説を読むのも悪くないですからね。
人生における疑問の一つに、推理小説の読み方があります。皆さん、推理しながら読んでますか? 私は脳みそ空っぽ人間なので、そのままページを捲りまくってしまいます。やっぱり、考えながら読むべきなんでしょうか…? 推理小説っていう言葉が難しいですよね。読者が推理するのか、登場人物が推理するのか、これがわからない。調べてみたら、読者が推理する小説っぽい。なるほどね。人生の疑問がまた一つ解けてしまったな。


くだらないこと言ってないで、さっさと感想に移りましょう。ここから先は、ネタバレがあるのは無論言うまでもありません。毎度思うんですが、内容を分かってる前提の感想って、一周回ってネタバレになりにくいのではないでしょうか。そうでもないかな…。

 

本作は、本格推理小説の短編集です。オムニバス形式ってやつですね。解説で、各話が英国庭園の謎に繋がっているんじゃないかみたいなこと書いてたけど、言われてみればそんな気がしますよね。四阿が出てきたところで、これはと思いましたが、他は気づかなかったなあ。
本作に収録されている短編は、全部で6つあります。私は、完璧な遺書と英国庭園の謎が好き。好きな理由は後述します。短編形式のものも読んだことなかったけど、これはこれでいいですね。さくっと読めるし、一話ごとの満足感が味わえます。一繋ぎの長編じゃ分からない感覚です。SF小説の短編集も読んでみたいね。

 

それでは、最初の短編である雨天決行から始めましょう。さも当然のように、有栖川有栖が登場人物として出てくるので、早速度肝を抜かれてしまいました。とはいえ、メタ要素というほどのものでもないし、単に視点の問題なのかもしれません。著書に火村英生シリーズがあるところから察するに、有栖川有栖ことアリスは主人公ではなさそうです。

死体の横を通って気づかないなんてことあるもんなんですかね。もし、これから先の人生で死体見つけたらどうしようかな。どうしようとかじゃなくて警察呼ぶのが当たり前なのは分かってます。ただ、二度とそういう光景を見ることはないでしょうから、記念撮影とかしちゃうかもしれないなあ。こういう頭のやつは碌な死に方しませんよ。

雨天とウテンを取り違えていたというところから電話の意味が分かってくるのですが、そんな知識、こちらは全く持ち合わせていませんでした。そうなんだとしか言いようがない。雨天決行を読み終えた時点で、私は推理を諦めました。やっぱり、推理小説って難しいね!

 

次、竜胆紅一の疑惑。この話は、個人的に一番印象薄いんですね。犯人が捕まるところまでいってないからか? 結構、犯人(と思われる人)は予想外の人物で、動機も他とは違い独特でした。ただ、そこ以外の内容があまり思い出せない。私は、クリエイターじゃないから分からないけれど、創作がうまくいってない時に催促されたら、相当しんどそうですね。ただ、敬愛する人の作品が早くみたいって気持ちも十分わかるんだよな。ヒラサワさん、ギターアルバムの方、よろしくお願いいたします。

 

三つの日付。これは、数字のトリックのやつですね。偉そうに「数字のトリック」なっていってるけど、推理小説の用語なんて知らないから適当に言ってしまいます。ただ、カレンダーの祝日が赤い数字になっていたから間違えたというだけでなく、旅行が好きでいろいろモノを置いてるって伏線が効いてていいですよね。一人称視点の人間が事件の関係者になるタイプのやつ好き。

 

完璧な遺書。お気に入りその1。何が良いって、火村が出てきたときの頼もしさ、あっっさりトリックが見破られてしまう虚しさ。これにつきる。毎度毎度、犯人への糸口を掴む火村から逃れられる人間がようやく出てきたと思ったら、あの有様でございますよ。助教授が強すぎる。今見返してみたら、この話はアリスの視点じゃないですね。犯人の視点だと、こんなにも恐ろしい相手とは…。私が悪いことしたら、もっと温情のある人に追い詰めてもらいたい。別にお気に入りだからっていっぱい感想書くわけじゃないぞ。

 

ジャバウォッキー。暗号と時間の話。こう書くと、ちょっとカッコよく見えますね。暗号って解くのも考えるもの難しいですよね。昔、暗号つながりでエニグマやら二銭銅貨やらの存在を教えてもらったことを思い出しました。このブログのカテゴリーも意味不明の文字列になってますが、一応意味のある組み合わせになっているんですよ。意味が分からなくても、カテゴリー別に振り分けられた記事から察することはできます。とはいえ、こんなものを暗号と言っていいものなのか。プロの推理小説家やマニアには怒られそうですね。

電車などの時間が絡むトリックって、編集の人がかなり入念にチェックするらしいですね。実際の時刻表と照らし合わせて、これなら間に合うとか地元の人ならこう行くとかを見ると聞きました。本当かどうかは知らん。時間にルーズなことで一躍有名になった私では、時間のトリックなんて一生考えられないでしょうね。

 

英国庭園の謎。この満を持して来る感じかっこいいよね。イカした表題とその実態とのギャップが最高でした。なんともいえない読後感があっていい。これを最後に持ってくるのズルいなあ。暗号の方もジャバウォッキーの難しいバージョンみたいで面白かった。ああいう、詩のような暗号作ってみたい。

中室莞爾というキャラクターがやたら濃くて気に入ってます。この人だけ、明らかに周りと浮いてるんですけど、何かしらの意図があったのかな。あたかも、庭園の説明をするために生み出されたキャラクターのような。実際は、それだけではないんですが。何でしょうね。若干、次元が上な感じがする。それを抜きにしても、早口で捲し立てたり、暗号が分からないことを誤魔化したりしてて面白い人でした。

 

推理小説を久々に読んでみたのですが、いやあ面白かったですね~。そもそも推理小説読んだことあったかな。いや、さすがにあるはず。SF小説の何倍も読みやすかったけど、全く推理できなかったから、ある意味読めてないともいえる。またしばらくの間は、SF小説ばかりになりそうですが、たまには違うジャンルに手を出してみるのもいいかもですね。本来は、順列都市を読む予定だったかな。隙を見て読み進めることにしましょう。相変わらずゲームに現を抜かしていますが、しっかり本や映画の時間も確保していきたい。そんな感じで、それでは皆さんさようなら。

 

今日のご飯 カレーうどん