未来世紀ブラジル、「見る」夢の世界

おはようございます。気づいたら結構日焼けしててびっくり。

 

未だにフジロックの余韻が抜けずにいたのですが、ある映画によってそれも吹き飛ばされてしまいました。

その名も、未来世紀ブラジル。あらすじがまともに機能してなくて、どういう映画か分からず見たのですが、いやはや凄まじい映画でございました。カルト的人気を誇っていると聞きましたが、首を縦に振りすぎて千切れるほど納得しました。他人に薦めようと露程も思いませんが、見た感想を聞きたくなりますねこれ。

私が映画や小説を取り上げるときは、必ずネタバレがあると古来より言い伝えられています。今風に言えば、古事記にもそう書いてある。

 

1984年」に強くインスパイアされたであろう管理社会が舞台です。未来世紀なんていうから、SFものかと思ったんですけどね。何にしても書類、書類。方々を覆いつくすのは、電線ではなくダクト。虫眼鏡代わりの液晶や自動で家事を行う機械など、新しいのか古いのか、いまいちよく分かりません。

主人公のサム・ラウリーは、現実世界でこそまあまあ情けない感じなのに、夢の世界では騎士? になって勇敢に戦います。あのサムライめいた何かや赤子の面を被ったゾンビ? の画が強烈だった…。不意打ちも普通に対処して戦えてるの笑ってしまった。結局、ラストは夢の世界から戻ってこれなくなりましたが、あれでいいのかもなと思っちゃいましたね。散々やらかして罪も重いだろうし、正気のまま拷問にかけられるくらいなら、ジルと一緒に過ごす方が遥かに幸せでしょう。やっぱり、ディストピアの世界では最終的に捕まって拷問をかけられる運命にあるんですかね。1984年しか、らしいもの見てないから分かんないけど。

思えば、ヒロインのジルくらいじゃないですか、まともな人間。母親とその友人は整形マニアだし、親友のジャックは拷問の仕事してるし。セントラル・サービスの片方が、書類の言葉に苦しんでいましたが、あれは何だったんですかね。よく分からないまま映画も見終わってしまった。あと、まともなのはバトルの奥さんくらいかな。タトルは、結局テロリストってことでいいのか。分からん、分からん。何なんだこの映画。

本作は、ストーリーというより映像を楽しむものなんでしょうか。多分、そうだと思いたい。実際、インパクトのある画が多かった印象を受けます。個人的にお気に入りは、ジャックが不気味な面を被ってこちらを見ているところです。奥に座っているみじめなラウリーと、いかにもやばそうな雰囲気を醸し出す人(ジャック)が対比になってる気がしていいですよね。ジャックも手が震えまくってて、友人を痛めつけたくないという良心が垣間見えたのもポイント高い。夢の世界から現実に戻った時、ラウリーがめちゃくちゃにされてるかと思ったら、手に穴を空けられた程度(程度じゃない)だったので、かなり加減したのかな。

昔の映画ってのもあると思うんですけど、痛々しいシーンが多かったなあ。普通に爆破で傷を負ってる人たちがわらわらいて、血がたっぷり流れてましたね~。虫やダクトの生物らしさに生理的嫌悪感を催されます。一言で言うと、気持ち悪いシーンが多い。葬式の骨と血液? がグシャ―っと流れるとこも、うわってなりました。ただ、こういう表現があるからこそ、本作の独特な雰囲気を作り上げることができるのでしょうね。

夢と現実、どちらを映しているのか分からなくなるという点で、私は今敏監督の作品を思い出しました。未来世紀ブラジルの時代には、すでにこのような表現を扱っていたんですね。個人的には、本作の方がある意味見るのが大変だった…。視聴後に頭痛がしそうでした。なんでだろう…。

 

とにかく、不思議な映画でしたが見て良かったと思います。きっとこの体験は、有意義なものになるはずです。そうでなければ、熱でうなされてる人が見た夢の追体験で終わってしまうので。私も拷問にかけられそうになったら、夢の世界に逃げようと思います。それでは、また後で会いましょう。おやすみ!

 

今日のご飯 ハヤシライス